裁判員になった話【体験談】

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裁判員にえらばれました

裁判員制度とは

そもそも裁判員制度とはどういうものでしょうか。この制度が始まったのは平成21年5月21日です。外国の映画なんかでよく見ますよね。一般の国民が陪審員として裁判に参加しているのを。あれと同じようなことを日本でもやるのかあと、当時はびっくりしました。

地方裁判所で行なわれる刑事事件を3人の裁判官と6人の裁判員で有罪か無罪か。有罪ならどのような刑にするかを決めてもらう制度です。(法務省HPより)

裁判員に選ばれる確率は?

裁判員に選ばれるのなんてすごい確率なんでしょ?って思うかもしれません。
全国平均は約1万人に一人くらい。しかし地方によって確率は変わってくるようで、私の住む大阪では約5000人に一人らしいです。理由は、大阪は人口の割に事件数が多いからだそうです。(ウ~ン、リアルな理由。。)

それでもすご~く他人事で、自分が選ばれるなんて微塵も思っていませんでした。

裁判員に選ばれるまでの流れ

最高裁判所から謎の封筒が届く

11月下旬頃、いつものようにポストを覗いたらクリーム色の封筒が。

最高裁判所」???? 宛名は私。。。。

えっ?私なにかやった?

びっくりしますよね。普段全く縁の無い、しかも最高裁判所から封書が届いたら。
何かやらかした覚えが無くても、一瞬やばいと思ってしまいました。💦

まあ、落ち着いて見たら右下に「裁判員制度」って書いてあるんですけどね。

しかし正直「うわ~来てしまった~」↓って思ってしまいました。
もちろん裁判員になった家族や身内もいませんし、周りでもいなかったのでまさか自分に来るなんてって
驚きでした。

封筒の内容

封筒の内容は、
「あなたは、来年度の裁判員に選ばれるかもしれませんよ。そのつもりでね!」って感じの内容です。

この段階では、まだ裁判員候補者名簿に名前が載っただけでまだ裁判に行くとかいう話じゃありません。
来年1年間、いつ呼び出しがあるか気になりますよね。こないかもしれないし。

中には、裁判員制度説明の冊子と調査票などが入っています。
裁判員になる資格があるかの確認や、

●欠格事由のある人=一般的に裁判員になることができない人

  • 国家公務員法38条の規定に該当する人(国家公務員になる資格のない人)
  • 義務教育を終了していない人(義務教育を終了した人と同等以上の学識を有する人は除く)
  • 禁錮以上の刑に処せられた人
  • 心身の故障のため裁判員の職務の遂行に著しい支障のある人

●就職禁止事由のある人=裁判員の職務に就くことができない人

  • 国会議員,国務大臣,国の行政機関の幹部職員
  • 司法関係者(裁判官,検察官,弁護士など)
  • 大学の法律学の教授,准教授
  • 都道府県知事及び市町村長(特別区長を含む)
  • 自衛官
  • 禁錮以上の刑に当たる罪につき起訴され,その被告事件の終結に至らない人
  • 逮捕又は勾留されている人

など                                (法務省HPより)

辞退したい場合

裁判員制度は,特定の職業や立場の人に偏らず,広く国民に参加してもらう制度ですので,原則として辞退はできません。ただし,参加する個々の国民の負担が,過重なものとならないようにとの配慮などから,法律や政令に例えば次のような辞退事由が定められており,裁判所がこれらの事情にあたると認めれば辞退することができます。

  • 70歳以上の人
  • 学生,生徒
  • 妊娠中
  • 出産の日から8週間以内
  • 妻・娘の出産のための入退院の付き添いまたは出産の立ち会い
  • 重い病気やけが
  • 親族・同居人の通院等の付き添い
  • 親族や同居人の養育・介護

その他の事情としては,次のようなものがあります。

  • とても重要な仕事があり,自分で処理しないと著しい損害が生じるおそれがある。
  • 父母の葬式への出席など社会生活上の重要な用務があって,別の日に行うことができない。
  • 過去一定期間内に,裁判員等の職務に従事したり,裁判員候補者等として裁判所に行ったことがある人(辞退が認められた人は除く)。


その場合「診断書」や「要介護認定の証明書」などが必要だったり、嘘は書けないなあという感じです。

辞退したい旨は、この後も言える機会はあります。現状どうかという感じで答えればいいと思います。

会社勤めの場合、「この月は繁忙期なので無理です」と書くような所もありました。
私は会社勤めなので、「繁忙月○月と○月」と「月末月初」は無理ですと書きました。


家族や会社には?言っていいの?

裁判員になったら誰にも言ったらいけないと思っていましたが、実はそんなことはありません。
家族にはもちろん話さないと一人でコソコソするのは不可能ですよね。
会社勤めの方は、会社に言わないと休めません。

A4の茶封筒が届く~裁判員選任手続期日のお知らせ~

年が明けて、裁判員のことが気持ちから薄らいでいたころ3月の下旬頃、今度は地方裁判所から大きめの封筒が届きました。

いよいよ来たか・・・・「裁判員選任手続期日のお知らせ」です。

内容は「あなたは裁判員候補者に選任されました。○月○日に選任手続きのために裁判所にお越しください」
と言う物です。

ここでだいたい50人くらいの候補者の方が呼ばれているようです。
この中から当日、裁判員6名・補充裁判員2名 が抽選で決まります。

その他封筒には、「質問票・返信用封筒・当日必要な物(振込用の通帳・印鑑)・裁判員制度という冊子」
などが入っていました。

交通費や日当の詳細も書かれていました。
「日当も出るんや💰」と私はちょっとびっくりしました。知らなかったので。

裁判員に選ばれたら、その後公判で出廷しないといけない日も決まっていてきっちり日にちも書かれてありました。
私の場合は、5月の5日間の日程が書かれてありました。なので、約2ヶ月前には日程が分かる計算になります。
ちなみに、この段階ではどんな事件かはわかりません。

質問票に記入をして返送します。
ここに「虚偽の記載をすると50万以下の罰金又は30万以下の過料に処せられます」って書いてありました。
嘘は書けません、罰金は困ります💦

この質問票にまた、辞退したい場合の理由などを聞かれます。
上にも書きましたが、辞退したい場合の理由は結構細かく書かれています。またそれを裏付ける資料の提出も求められたりします。ここで辞退が認められると、「あなたは裁判所まで、来て頂かなくていいですよ」って連絡が来るそうです。

選任手続期日~当日

初めて裁判所に行く

いよいよ、選任手続きの当日です。

届いた封筒と印鑑をもって指定の時間に行きました。
近くは通ったことはありましたが、裁判所に入るのは初めて。ちょっと、緊張。

玄関には警備員の方が立っておられ、中に入ると空港にあるような荷物検査の機械に荷物を通されます。
なんか緊張感が増します。
しかしコレは最初だけで、その後裁判員に選ばれると入館証を渡されるので、それで入れるようになります。

「裁判員選任手続きこちらこちら→」と張り紙がしてあるところをたどって会場まで。
エレベーターを降りると、係の方が案内してくれます。

コロナ渦だったこともあり、入り口で検温と消毒。
封筒に入っていた用紙を渡して、番号を書いた紙を渡されます。ここからはすべて、番号で個人を識別していきます。

これもコロナの影響なのですが、本当は1部屋で行なうものですが、感染対策のため2部屋に分かれてやりました。
私はメインの部屋でしたが(多分25名くらい)、別室はライブ映像が流れていたようです。

指定された席に座ると、何枚かの用紙が置いてありました。
今日の進行表と質問票、交通費請求書と、該当事件の起訴状のコピーです。

起訴内容を読んで、「被疑者を知っているか」や「この事件を知っていますか」などが質問票に答える形になっています。
事件の関係者だと裁判員になれないからです。

裁判官登場

時間になると、今回の事件担当の裁判官3名、検察官1名、弁護人1名が入ってこられました。
「本物だ~」と思いましたよね。

それぞれ自己紹介をされ、事件の説明をされました。これは、配られた用紙に書いてある内容を読み上げる程度です。

質問状には事件の関係者ではないかなどの質問の他に、辞退の申し出と理由を書くところもあります。
その場合、隣の部屋で裁判官らと5分程個別面談するのだそうです。
今回5人位、別室に呼ばれて行ったと思います。

その間、何も問題ない人は30分程自由に部屋内で待機。
お手洗いに行く人はいましたが、みんな知らない者同士なのでおしゃべりするわけでも無く、
みんなそのまま座っていました。

待っている間、裁判員の職務に関してのDVDをモニターで流してくれるのでそれを見て待っていました。

裁判員に選ばれる

時間になると、いよいよ裁判員が決定します。

辞退が認められた人を除いて、コンピューターでランダムに選ばれます。
前のモニターに自分の番号が映し出されると、”当たり”です。
なんだか、運転免許試験の時の合否みたいって思いました。

私の番号ありました。裁判員に選ばれました。
「こんな運の使い方をしていいのだろうか。。。」って思いましたが。

裁判員6名、補充裁判員2名が決定し隣の部屋に行きます。
選ばれなかった人は、ここで終了です。

隣の部屋に誘導されて、そのまま法廷に案内されました。実際、裁判が行なわれる場所です。
いきなり法廷に入れるとは、少々びっくりしました。

実際座る席も決められいてそこに座ります。
なんだか現実ではないような気分になりました。法廷の隅々まで見渡せる感じで、思っていたより高い位置だなあ
と思いました。改装されて間もないのか、とても綺麗でした。

自分の席には、ファイルと筆記用具が入ったセットと今から書く何枚かの用紙。
宣誓書」が置いてあります。

まず裁判員になると言うことを改めて説明され、みんなで「宣誓書」を声を合わせて読み上げました。
最初、みんなどうしていいかわからず声が小さくボソボソって感じになったので、
裁判官が「もう一回いきましょうか。せーの!」って仕切り直してくれました(笑)

宣誓書に署名捺印を行います。
ここでは自分の名前をフルネームで記入し、自分の印鑑を押します。

これで正式に裁判員として選任されたことになります。責任を改めて感じます。

ここで部屋からは検察官と弁護人が退席します。
その後は連絡先を書いたり、何かあったときのための裁判所への連絡先を渡されます。
“裁判員○番”と書かれた名刺サイズのカードを渡されます。これは裁判所内での身分証になります。
ここから先はこの番号で呼ばれ、一切氏名は公表されません。
裁判員同士でもこの番号で呼び合うので、最期までお互い名前は知らないまま終わりました。

今後の予定、時間などを伝えられ質問がなければ終わります。
この日は半日ほどで終わりました。

いよいよ裁判

2~3日目 証拠調べ手続き

いよいよ裁判に入ります。
2~3日目にかけては、「証拠調べ手続き」に入ります。
流れとしては、こんな感じです ↓

検察官の冒頭陳述 (証拠によって証明しようとする具体的な事実を述べる)

弁護人の冒頭陳述 

裁判長からの争点告知 (公判前整理手続きで整理さらた争点が告げられる)

実況見分調書の取り調べ (現場の写真や地図などをモニターに映しながら説明)

鑑定書等の取り調べ


上記のような流れで進められていきます。
その間、要所要所で休廷に入り裁判員は部屋に戻り休憩します。
結構、休憩は頻繁にあって1回の法廷で1時間を超えるようなことはなかった印象です。

初めての経験ですし、やはり裁判という緊張感の中ですので
頻繁に休憩を入れてもらえるのは良かったと思います。

評議

評議は適宜行なわれます。評議室で集まって、法廷で聞いた内容を精査します。
この時に裁判官に質問したりできます。
わからないことはドンドン質問しましょう。
とても丁寧に教えてもらえます。

裁判員から被告人質問

裁判員から被告人に質問をする機会もありました。
とても緊張しました。
評議の時に質問は考えたりできます。私の時は、裁判員全員一つずつ質問することにしました。
何人かは2つ位していたかな?

弁論手続き

弁論手続きはまず検察官が「論告」という意見陳述を行ない最期に「求刑」が述べられます。

つぎに弁護人が「弁論」という意見陳述をおこないます。

評議~4日目

4日目は本格的な評議に入ります。
今までとは違う部屋でどのような量刑にするかをしっかり話し合います。

人の人生がかかっていることなので、みんな真剣に考えました。
それぞれ考え方があり、人の意見を聞くのもとても勉強になります。

私が難しいなあと思ったのは、決して感情論にまかせてはいけないということ。
被告人は悪人だ!という個人的な感情ではなく、客観的に判断しなければならないこと。

法廷に提出された証拠をもってのみ判断することなのです。

この日は午後2時頃には終わったでしょうか。
判決まで決定して次ぎは判決宣告で最期になります。

判決宣告~最終日~

いよいよ判決。最終日になります。

4日目に評議で決定した判決を言い渡す日です。

判決宣告は今までより最も多い傍聴席でした。
マスコミの方もいらっしゃるのでしょうか?とにかく一番人が多くてちょっと緊張しました。

裁判長が判決を言い渡して判決文を読み上げ、終了しました。

判決を言い渡すだけなので、すごく早く終わります。

その後、裁判員はまた評議室に集められました。
みんなほっとしと様子です。
アンケートが置いてありそれを記入しながら、みんな一人ずつ感想を述べました。

最後に

長かったような短かったようなとても濃密な5日間でした。
みんな最初は「なんで私が」「面倒だなあ」なんて思いながら、裁判所に来たと思います。
しかし、最後の感想は「いい経験になった」「やってみて良かった」という意見でした。

私ももちろん、やってみて良かったです。こんな経験一生に一回あるかないかでしょ!と
思いましたよ。
責任重大ですが、いい経験になりました。

★ 日程は?
  5日程度 
  夕方5時を過ぎることはなかった。お昼過ぎに終わる日もあった。

★ 服装は?
  そんなに堅苦しく考えなくて大丈夫(スーツを着ないととか思わなくて大丈夫)

★ 裁判官はこわい?
  全然こわくありません。すごく優しいかったし、親切に教えてもらえます。

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この記事を書いた人

50代 関西在住 会社員&主婦
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ライブ・映画・ミュージカル大好きです

50年生きてきた私の経験など
少しでもお役に立てばという感じで
日々の雑多な出来事などを書きます

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